「複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者」が対象
2022年1月1日から開始「雇用保険マルチジョブホルダー制度」の解説
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2021/12/01
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2022年1月1日から「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が開始します。従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が「1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込み」などの適用要件を満たす場合に適用されましたが、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができるようになります。今回は、雇用保険マルチジョブホルダー制度について解説をしていきます。
(1)雇用保険マルチジョブホルダー制度とは
雇用保険では、主たる事業所での1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、31日以上の雇用見込みであること等の適用要件を満たす場合に被保険者となります。この例外的な取扱いとして、2022年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」がスタートします。
雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所に勤務する65歳以上の労働者が、1つの事業所では雇用保険の被保険者としての要件を満たさないものの、2つの事業所での勤務を合計して適用要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
(2)適用要件
マルチ高年齢被保険者となるためには、次のすべての要件を満たすことが必要です。
① 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
② 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して、1週間の所定労働時間が20時間以上であること
③ 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
(3)受給できる給付金
マルチ高年齢被保険者が失業した場合には、一定の要件(離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あること等)を満たせば、高年齢求職者給付金を受給することができます。
2つの事業所のうち1つの事業所のみを離職した場合でも受給できます。ただし、就労を継続するすべての事業所を併せて、マルチ高年齢被保険者の要件を満たす場合は、被保険者期間が継続されるため、受給できません。
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